吾輩は庭の哲学者である
あらすじ
吾輩は庭の哲学者である。名前はまだ無い。ある日、いつものように縁側で日向ぼっこを決め込んでいると、ふと奇妙な鳥の声が耳に飛び込んできた。それは、今まで聞いたことのない、しかしどこか懐かしさを感じる調べであった。吾輩は、長年の猫生で培った経験から、これはただの鳥ではないと直感した。
小さな来訪者
音のする方へ、そっと身を潜めながら向かうと、そこには一羽の小さな雀がいた。しかし、その雀は普通の雀とは違った。片方の翼に、朝露のようにきらめく小さな飾りをつけていたのである。吾輩は驚きを隠せない。この屋敷に住み着いて以来、多くの人間や鳥、虫を観察してきたが、これほどまでに奇妙な装飾を施した鳥は初めてであった。
雀は吾輩に気づくことなく、庭の片隅に咲く名もなき花の蜜を吸っている。その姿はあまりにも無邪気で、吾輩は獲物としての本能を忘れ、ただ見つめることしかできなかった。
思考する猫
主人は相変わらず書斎にこもり、時折聞こえるいびきが彼の怠惰を物語っている。人間というものは、なぜこうも無駄な時間を過ごせるのだろうか。吾輩は、この小さな来訪者、飾りのついた雀の謎について深く思考を巡らせる。あの飾りはどこから来たのか、なぜあの雀だけがつけているのか。そして、あの飾りが意味するものとは一体何なのだろうか。
吾輩は、この疑問を解き明かすため、新たな冒険に乗り出すことを決意した。それは、庭という小さな世界から、未だ見ぬ真理へと至る、壮大な旅の始まりであった。しかし、まずは腹ごしらえだ。台所のおさんの目を盗んで、何か美味しいものでも拝借するとしよう。