青空短編小説

ブラックケーキ ~闇に隠された真実~

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あらすじ

法学部生カルキが謎の組織「ブラックケーキ」にスカウトされ、世界を裏から支配する組織の真実を知る。真の正義を見極める能力を持つ彼が人類の進化を選択し、新たな使命を背負う青年の成長物語。

第一章 突然の誘い


雨が窓を叩く音が、夜の静寂を破っていた。カルキは机に向かい、明日の大学の課題に取り組んでいた。法学部の三年生である彼は、将来は検察官になりたいと夢見ている、ごく普通の大学生だった。


「正義を貫く。それが僕の信念だ」


カルキは常にそう考えていた。誠実で正義感の強い彼は、友人たちからも信頼されている。しかし、その夜、彼の平穏な日常は終わりを告げることになる。


突然、インターホンが鳴った。時刻は午後十一時を回っている。こんな時間に訪問者がいるとは思えない。カルキは警戒しながらドアを開けた。


「カルキ・サトウさんですね?」


黒いスーツを着た男性が立っていた。年齢は三十代前半くらいだろうか。穏やかな表情をしているが、どこか底知れない雰囲気を醸し出していた。


「はい、そうですが……どちら様でしょうか?」


「私はマッキーと申します。あなたにお話があって参りました」


マッキーと名乗った男性は、にこやかに微笑んだ。


「こんな夜遅くに申し訳ありません。しかし、これは非常に重要な話なのです。少しお時間をいただけませんか?」


カルキは困惑した。見知らぬ人物からの突然の訪問。普通なら断るところだが、なぜかマッキーの言葉には不思議な説得力があった。


「……わかりました。でも、長時間は困ります」


「ありがとうございます。それで十分です」


マッキーは部屋に入ると、ソファに腰を下ろした。カルキも向かいに座る。


「単刀直入に申し上げます。私たちの組織があなたをスカウトしたいのです」


「組織?」


「ブラックケーキという組織です」


カルキは眉をひそめた。聞いたことのない名前だった。


「ブラックケーキ……どのような組織なのでしょうか?」


マッキーは少し考えてから口を開いた。


「表向きには存在しない組織です。しかし、世界中に影響力を持っています。カジノ、金融、情報……様々な分野で活動しています」


「それって……まさか」


カルキの顔が青ざめた。マッキーの説明は、明らかに合法的な組織のものではなかった。


「ご心配は無用です。私たちは単なる犯罪組織ではありません。もっと大きな目的があるのです」


「大きな目的?」


「世界の秩序を維持することです」


マッキーの表情が真剣になった。


「世界には表には出ない問題が山積みです。政府や国際機関では対処できない事案も多い。そういった問題に、私たちは対処しているのです」


カルキは混乱していた。正義感の強い彼にとって、闇組織に関わることなど考えられなかった。


「でも、なぜ僕を?僕は何の特技もない、ただの大学生ですよ」


「あなたには純粋な正義感があります。それが私たちには必要なのです」


マッキーは立ち上がった。


「今すぐ返事をいただく必要はありません。しかし、考えてみてください。本当の正義とは何か、を」


そう言い残すと、マッキーは部屋を出て行った。カルキは一人残され、複雑な思いを抱えていた。


第二章 闇の世界への第一歩


三日後、カルキは再びマッキーと会っていた。今度は都心のカフェでの待ち合わせだった。


「来てくれてありがとう、カルキ」


マッキーは相変わらず穏やかな表情を浮かべていた。


「決心がついたということですね?」


「正直、まだ迷っています。でも……話だけでも聞いてみたいと思って」


カルキは正直に答えた。この三日間、彼は悩み続けていた。正義感の強い彼にとって、闇組織に関わることは本来なら絶対に避けるべきことだった。しかし、マッキーの言葉が頭から離れなかった。


「本当の正義とは何か」


その問いかけが、カルキの心に深く刻まれていた。


「それで十分です。まずは私たちの活動を見てもらいましょう」


マッキーは立ち上がり、カルキを案内した。向かった先は、都心の高級オフィスビルだった。


「ここが私たちの拠点の一つです」


エレベーターで最上階に上がると、そこには想像以上に洗練されたオフィスが広がっていた。


「思っていたような怪しい場所ではありませんね」


カルキは安堵の表情を浮かべた。


「ブラックケーキは確かに表には出ない組織ですが、私たちなりのプロフェッショナリズムを持っています」


オフィスの奥から、一人の男性が現れた。年齢は五十代くらいで、威厳のある雰囲気を持っていた。


「カルキくん、初めまして。私はクジラです」


「クジラ……さん?」


「コードネームです。ブラックケーキでは、安全のため本名は使わないのです」


クジラは穏やかに微笑んだ。


「君がカルキくんか。マッキーから話は聞いている。よく来てくれた」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


カルキは緊張しながら挨拶をした。


「今日は簡単なオリエンテーションを行う。君にブラックケーキについて理解してもらうためだ」


クジラは会議室に案内すると、大きなスクリーンに世界地図を映し出した。


「ブラックケーキは世界規模の組織だ。表向きには存在しないが、その影響力は計り知れない」


地図上に赤い点が次々と表示されていく。


「カジノ、金融、情報、物流……様々な分野で活動している。しかし、これらは全て手段に過ぎない」


「手段?」


「私たちの真の目的は、世界の秩序を維持することだ」


クジラの表情が真剣になった。


「政府や国際機関では対処できない問題が世界には山積みしている。テロ、人身売買、違法薬物……これらに対処するため、私たちは存在している」


カルキは困惑した。それは確かに正義の活動のように聞こえる。しかし、その手段が合法的でないことも明らかだった。


「でも、それって法律に反することもあるのでは?」


「その通りだ。しかし、法律で解決できない問題もある。時として、正義のためには法を超えた行動が必要になることもあるのだ」


クジラの言葉に、カルキは深く考え込んだ。


「君の正義感は素晴らしい。しかし、世界はそれほど単純ではない。真の正義を実現するためには、時として汚れ役を買って出る必要もあるのだ」


第三章 初めての任務


カルキがブラックケーキに参加してから一週間が経った。彼は主にデータ整理や資料作成などの事務作業を担当していた。


「カルキ、初めての現場任務だ」


マッキーが声をかけてきた。


「現場任務?」


「人身売買の組織を摘発する。君にはサポートをお願いしたい」


カルキの表情が引き締まった。人身売買は確かに許されない犯罪だ。それを阻止するなら、確かに正義の活動と言えるだろう。


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